1995年– date –
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第二十二章『父の墓前、途切れた対話』【明治葬儀社編】
突然の訃報により、旅人は大阪へ帰る。父の死を受け止めきれぬまま向かった墓前で、彼はかつて果たせなかった“対話”と向き合うことになる――。 ― 旅人、大阪へ帰郷す ― 電話は、早朝に鳴った。 灰色の空が、窓の外でじわりと明るくなりはじめた頃。 旅人... -
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第二十一章『野田の手紙、始まりの現場』【明治葬儀社編】
ある日、創業メンバーの野田修造が旅人に封書を手渡す。それは、明治葬儀社が立ち上がった“最初の現場”について書かれた手紙だった。創業の記憶に触れながら、旅人は“始まりの魂”と向き合っていく――。 ― 創業メンバー・野田修造との対話 ― ある午後、旅人... -
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第二十章『小さな灯籠流し』【明治葬儀社編】
美月の発案で、社員数名と共に“灯籠流し”の慰霊行事を企画する旅人。形式に頼らない弔いのあり方と、葬儀社の一人ひとりの想いが静かに浮かび上がっていく――。 ― 秋の終わりの川辺にて ― 風が冷たくなった。 それは冬の足音というより、秋が“帰っていく”... -
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第十九章『美月の涙、立ちすくむ日』【明治葬儀社編】
ある日、美月が旅人の前で涙をこぼす。いつも毅然としていた彼女が、初めて言葉にできない感情を溢れさせた日。旅人はその涙に“言葉ではなく、そばにいること”で応えようとする――。 ― 心の揺れを見せた彼女と旅人 ― その日、空は晴れていた。 けれど、空... -
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Vol.14『夏の光の中、託された祈り』【明治葬儀社編】
――盆の終わりの空は、どこか翳りを帯び、谷中の町に流れる空気には、過ぎ行く季節の名残が感じられた。蝉の声が一層力強く響き、線香の香りが町の軒先で淡く漂う。明治葬儀社の扉を開けた風野旅人は、今日の一日の重さを静かに胸に受け止めようとしていた... -
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Vol.13『盆支度の朝、駆ける足音』【明治葬儀社編】
――盆の朝。谷中の町は、早朝からどこか落ち着かない空気に包まれていた。蝉の声が低く響き、線香の香りが町全体をやわらかく包んでいる。明治葬儀社の前に立った風野旅人は、扉の向こうに広がる今日一日の気配を胸いっぱいに吸い込んだ。 事務所の扉を開け... -
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『雨音の中で交わす言葉、スナックの灯り』【スナックゆり編】
――盆の熱気がようやく和らぎ始めた夜、谷中の町には夏の終わりを告げるような静けさが広がっていた。遠くで雷が小さく響き、湿った石畳がスナックゆりの赤い灯りを淡く映していた。 風野旅人はふと歩を止め、帰路の途中でその店の扉を見上げた。暖簾が風に... -
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Vol.14『静けさの中の朝、渡るコーヒーの温もり』【明治葬儀社編】
――盆の町の空はまだ青みがかった灰色に覆われ、谷中の路地には昨夜の線香の香りが微かに残っていた。蝉の声も目覚めきらず、町全体が夜と朝の狭間で息をひそめていた。 風野旅人は白い軽ワゴン車をそっと停め、静かにドアを閉めた。汗ばむ額を袖でぬぐい、... -
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Vol.12『夏の日のひととき、定食屋への誘い』【明治葬儀社編】
――盆の町の熱気と静けさが入り混じる朝、谷中の空には蝉の声が高く響いていた。明治葬儀社の事務所には白檀の香と冷房の音が静かに満ち、進行表の紙の隅が微かに風に揺れていた。風野旅人はその進行表に目を落としつつ、微かな空腹を感じていた。 「旅人さ... -
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Vol.11『静けさの中の支度、通夜の夜へ』【明治葬儀社編】
――盆の気配が町の空気を変えていく。明治葬儀社の事務所には、祭壇の白布のように淡い光が差し込み、白檀の香と冷房の音が静かに満ちていた。風野旅人は、今日という一日の始まりに、またひとつ新たな務めを胸に刻むことにな 神田の声は低く、しかしその響...