1995年8月– date –
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Story
Vol.04『静寂の中の歩み、記憶の階段を昇る』【明治葬儀社編】
――葬儀社の館内は、静けさを宿す場所だった。けれどその静けさは、ただの無音ではなく、送られた人々の記憶が刻まれた余韻のように感じられた。風野旅人は、その空気の中を初めてゆっくりと歩き出した。 1995年8月4日、午後1時。東京の空は白く霞み、熱気... -
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Vol.03『穏やかな朝の約束、静かなるお迎え』【明治葬儀社編】
――送るということは、故人の人生の重みをそっと引き継ぐこと。蝉の声が騒がしい夏の朝にも、その静かな約束は変わらない。風野旅人は、三日目の朝、自らの手でその重みを感じ取ることになる。 三日目の朝は、不思議と心のどこかに静けさを感じさせた。蝉の... -
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Vol.02『静けさの中の一歩、確かめる朝』【明治葬儀社編】
――死を見送るということは、昨日と同じ朝を迎えながら、心のどこかが変わってしまった自分に気づくことだった。蝉の声、白檀の残り香、谷中の街路に流れる朝の風。そのすべてが、風野旅人にとって新しい意味を持ちはじめていた。 1995年8月2日 午前7時45分... -
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Vol.01『初出勤の朝、記憶の扉が開く』【明治葬儀社編】
Vol.01『初出勤の朝、記憶の扉が開く』 ――死者を送る仕事は、静寂の中から始まる。蝉の声、白檀の香り、そして人の気配が希薄になる朝の町。風野旅人が踏み出したのは、“誰かの終わり”を見届ける場所だった。その足音が葬儀社の石畳に響いたとき、彼の人生...
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